一番船を嫌う大原の生切り
どんな伝承か
大原漁港の正月の初出漁は生切りと呼ばれ、土地の名物になっている。ところがこの一番乗りを、船主も漁師も嫌う。先頭を切った船はその年じゅう事故や災害に見舞われ、不漁が続いて碌なことがないと言い伝えられているためである。名乗り出る船がないので初出漁は遅れるばかりで、アグリ漁の書き入れ時に大きな痛手となった。そこで船主たちが話し合い、くじ引きで強制的に決めることにし、今では順番制で回すようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。