雪原の穴倉で産む大岩のウブヤ
どんな伝承か
山形県米沢盆地の小国町は、雪の東北の中でも屈指の積雪地である。冬のお産は三丈もの積雪をおかして、サラドと呼ぶ雪原の中にぽつんと建つ穴倉のようなウブヤに入るという。ここのウブヤは大岩部落の共有で常設の茅葺き小屋であり、建っている場所をコヤバと呼ぶ。明治中期までは出産のつど小屋を急造し、産が済むと取りほごして用材を大杉の根本に立てておいた。急造が間に合わず、その大杉の下で産んでしまったこともあったという。産婦は梁から下がる力綱にすがり、中腰で子を産んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。