雪から掘り出す五味沢の稲荷
どんな伝承か
二月の初めての午の日を初午といい、稲荷を祀る風は広くみられる。置賜地方では白鷹町高沢の稲荷が有名で、この日に参る人が多い。豪雪地帯の小国町五味沢では、初午の前日に雪のなかから稲荷の祠を掘り出しておき、当日の朝に赤い旗を立てて参るという。かつて男たちはまいかきと称して隣近所を飲み回ったそうである。まいかきのまいとは繭のことで、この行事は養蚕農家が繭の豊作を祈念したものであり、置賜の各地で初午の日に行なわれてきた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊』は、置賜地方の民間信仰を、奥村幸雄・武田正らが項目ごとに分担して書いた民俗誌である。人の一生や食物・病気の禁忌、天気占い・作占い・予兆とまじない、ワカ(巫女)、病を治す薬師・道祖神・地蔵、死霊と魂招び・死水の習俗を、古老からの聞き書きや薬の書付を交えて記す。「禁忌・卜占・予兆」「生活の中の神々」「死霊」などの部に分け、項の末尾に執筆者名を記す。