逆さに吊すと雨を降らす地蔵
どんな伝承か
小国町の玉川を渡って最初に行き着く足野水に、雨降り地蔵と呼ばれる石仏がある。怒らせれば必ず雨が降るといわれた。日照りの続いたある年、隣村の若い衆がこの地蔵を借り受け、どうすれば腹を立てるかと頭を叩いたり転がしたりしたが、地蔵はかえって嬉しそうな顔をするばかりだった。そこで締めていた帯で縛り、逆さに吊るしてみると、晴れていた空がにわかに曇って大粒の雨が落ちはじめ、村は旱害を免れたという。この地蔵には佐藤次右衛門信清の子孫益運の魂が籠るとされる。益運は何があっても腹を立てぬ人物で、のちに光学寺十七代の住職となり、没後その霊を弔うために建てられたのがこれだと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊』は、置賜地方の民間信仰を、奥村幸雄・武田正らが項目ごとに分担して書いた民俗誌である。人の一生や食物・病気の禁忌、天気占い・作占い・予兆とまじない、ワカ(巫女)、病を治す薬師・道祖神・地蔵、死霊と魂招び・死水の習俗を、古老からの聞き書きや薬の書付を交えて記す。「禁忌・卜占・予兆」「生活の中の神々」「死霊」などの部に分け、項の末尾に執筆者名を記す。