雪原の穴倉で産む大岩のウブヤ
どんな伝承か
山形県米沢盆地の小国町は、雪の東北の中でも屈指の積雪地である。冬のお産は三丈もの積雪をおかして、サラドと呼ぶ雪原の中にぽつんと建つ穴倉のようなウブヤに入るという。ここのウブヤは大岩部落の共有で常設の茅葺き小屋であり、建っている場所をコヤバと呼ぶ。明治中期までは出産のつど小屋を急造し、産が済むと取りほごして用材を大杉の根本に立てておいた。急造が間に合わず、その大杉の下で産んでしまったこともあったという。産婦は梁から下がる力綱にすがり、中腰で子を産んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。