篠島の仮屋と御師
どんな伝承か
愛知県三河湾内の篠島では、産屋のことを仮屋といった。この島が古くから伊勢神宮の神領であったため、民家の近くに仮屋を造ることはいっそう厳しく禁じられていた。しかし住居を遠く離れて産婦が暮らすのは堪えがたく、家の近くへ移すことを御師に願い出て許されたという。その事情を示す記録が残っており、仮屋は家の近所に作ってよいこと、月水が明けたのちは他家に一夜居てからその主の家に入ること、月水に出て一一日目に同火してよいことなどが定められ、元和七年三月吉日、御師高伺与三太夫光世から篠島地下中へ宛てて出されている。
原典より
しかし、住居を遠く離れて産婦が暮らすのが堪えがたくなったので、家近くに移ることを御師に願い出て許されたといわれ、この間の事情を示す記録が残っている。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。