大蛸に引き込まれたおりんの島
どんな伝承か
知多郡豊浜町大字須佐の沖にある島の話。ここがまだ須佐村といったころ、おりんという老婆がいて、ある日蛸捕りに出た。すると見たことも聞いたこともない大蛸が海上に現れ、足を一本おりんの船に差し込んできた。気丈なおりんは刃物でその足を切り落とし、よい菜ができたと喜んで持ち帰った。翌日も同じ場所で大蛸が足を入れてきたので、また切り取って引き上げる。それが毎日続き、八日目に最後の一本を切ろうとしたとき、おりんはその足に巻き込まれて海の中へ引き込まれてしまった。島の名とともに残る哀れな物語である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。