七人の女が演じる産みのまねごと
どんな伝承か
子の生まれない夫婦のために、出産のまねごとを真剣にやるモチギリという習俗があった。さいきん紹介されたのは宮城県栗原郡一迫町で行なわれた例である。同郡若柳町や岩手県胆沢郡あたりのものは、医者・看護婦・産婆・神官・腰抱き婆・あつかい婆・箕持女という七役を受け持つ七人のオッカサマたちが、子どものいない家々をまわり、逃げまわる嫁をつかまえては「妊娠だ」「臨月だ」「そら、生まれるぞ」とはやしたて、安産から産湯をつかわせるまでの形式をやるものであった。騒ぎが終わって酒盛りが始まるころ、嫁夫婦はうやうやしく神棚に向かい、いま演じてもらったとおりに子宝が授かり安産できますようにと拝んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。