表参道まで車が乗り入れる塩釜神社
どんな伝承か
自動車の普及とともに、車体ごと社寺へ乗りつけて祓いを受ける風が広まった。海上安全と安産の神として知られる宮城県の塩釜神社にも、自家用車やバス、トラックが月に平均二〇〇台ほど表参道まで入り込み、祓いを受けているという。運転席に吊るすマスコットも、軒先の呪物と同じ役割を負ったものらしい。祓いや神札を求めて訪れた者たちは、この札があるとなんとなく安心できる、橋から車ごと川へ落ちたが無事だった、身代わりの札を持っていた二人はかすり傷ひとつ負わず持たぬ自分だけが大怪我をした、などと語る。消防車もパトロールカーも例外ではないと記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。