癇の虫に効くという孫太郎虫
どんな伝承か
虫が好かない、虫の居所が悪いなどという「虫」の一種に「癇の虫」がある。中年以上の人ならだれでも知っている「奥州斉川の孫太郎虫」はその特効薬で、奥州斉川は『山村に生きる人びと』の著者菅野新一のいる宮城県白石市である。正体はヘビトンボの奇怪な幼虫で、初夏の候ともなればトンボになって飛んでいく。現在、斉川近辺にはプロ三〇人、アルバイト五〇人の孫太郎虫とりがいて、推定一〇万匹を全国的に売りさばいているというから、まだ人気は保持しているらしい。分析表によればタンパク質五七、粗脂肪一一、鉱物質四パーセントで、まあイナゴみたいな栄養価値はあるらしい。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。