蓬の矢で射られた蛇骨沢の大蛇
どんな伝承か
下戸沢からおよそ十里ほど先、イリ山の奥にある蛇骨沢には、昔大きな蛇が住んでいた。歩いた跡の草が分かれて倒れ、恐ろしくて行かれなかったという。ある時ある人が、大きくなった蓬の茎を切って矢にし、蛇を射て退治した。蛇は騒いで転がって沢に落ち、菖蒲のある所へ行って、その匂いに当たって死んだ。だから今でも悪魔が入らぬよう、五月五日に魔除けとして蓬と菖蒲を屋根に挿す。大水が出た折に、紛れて残っていた蛇の骨が流れたので蛇骨沢という。また源義家の妻桔梗姫が沢の頂上の池まで逃げ、身を投げて蛇に化したため、桔梗が原には桔梗が一本も咲かないとも伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県白石市下戸沢民俗調査報告書――伝説・怪異
『宮城県白石市下戸沢民俗調査報告書――伝説・怪異』は、宮城県白石市の下戸沢地区で行われた民俗調査の報告書である。年の暮れの行事の記述に続いて、白石川の淵や山の地名の由来、蛇骨沢や鎌倉岩、三丈滝の不動明王、万蔵稲荷、鬼婆、ガマ仙人、狐に化かされた話などを収める。口承文芸は昔話・伝説・世間話の三つに分け、一話ごとに題を立てて土地の人の語りを短くまとめ、行事の項には注を付す。