上には上がいる怠け者くらべ
どんな伝承か
或る男があまりに怠け者なので、焼飯二つを貰って勘当された。男は焼飯の包みを頭に掛けて当てもなく歩き、そのうち腹がすいてきたが、根が怠け者なので、包みを下ろして解くのも面倒くさく、誰か来たら解いてもらおうという気で歩いていた。すると向こうから、笠を被って口を大きく開けた男が来た。腹が空いて口を開けているのだろうと思い、焼飯を一つやるから包みを解いてくれと頼むと、相手は、いや手を出して笠の紐を締めるのが億劫だから、口を開けて顎で紐を張っているのだと答えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
農民俚譚(佐々木喜善(著)・本山桂川(編)・佐々木喜善・東北民俗・1934年(昭和9年))
『農民俚譚』は、佐々木喜善が書きためた昔話や伝説を、その没後に本山桂川が編んで昭和九年に刊行した本である。陸中の和賀郡・岩手郡・胆沢郡で集めた炭焼長者や瘤取爺などの昔話に、河童・山男・山女・人柱・蛇にまつわる伝説、地蔵の話、異類に嫁ぐ女の話を記した「縁女綺聞」、紫波郡の口碑による「鳥蟲木石伝」などを収める。郡ごとの昔話には大正十三年の日付の前書きが付き、巻末に本山桂川の追想「佐佐木喜善君の遺業と其晩年」を置く。