銅ヶ沢金山を崩した黄金の牛
どんな伝承か
紫波郡佐比内村の銅ヶ沢の金山が全盛だったころのことである。坑内で小牛のような金塊を掘り当てたので、多勢の坑夫たちはこれに網を結びつけ、唄をうたいながら曳き出そうとした。ところが山が鳴動して坑が崩れ落ち、坑内の坑夫たちは残らず圧死してしまったという。これが黄金の牛の口碑として語り伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
農民俚譚(佐々木喜善(著)・本山桂川(編)・佐々木喜善・東北民俗・1934年(昭和9年))
『農民俚譚』は、佐々木喜善が書きためた昔話や伝説を、その没後に本山桂川が編んで昭和九年に刊行した本である。陸中の和賀郡・岩手郡・胆沢郡で集めた炭焼長者や瘤取爺などの昔話に、河童・山男・山女・人柱・蛇にまつわる伝説、地蔵の話、異類に嫁ぐ女の話を記した「縁女綺聞」、紫波郡の口碑による「鳥蟲木石伝」などを収める。郡ごとの昔話には大正十三年の日付の前書きが付き、巻末に本山桂川の追想「佐佐木喜善君の遺業と其晩年」を置く。