長すぎる名で助からぬ子
どんな伝承か
胆沢郡で語られていた笑い話である。ある家では生まれた子が次々と早死にするので、長い名をつければ長生きするだろうと考え、新しく生まれた子に呪文のような名を延々とつないでつけた。ところがある日、その子が井戸に落ちてしまう。見つけた人が家の者へ知らせようと大声で名を呼んだが、あまりに長いので言い終わらぬうちに時が過ぎ、井戸の中の子は水を飲んで死んでしまったという。名を短くしておけば助かったという教えである。
原典より
或家で何時も子供を早く死なせるので、長い名をつけたなら長生するかも知れないといふので、新しく生れた子供に、「チョーニン・チョーニン・チョージーロー・イッケァ入道・ワア入道・マンマル入道にシラ入道・エァーツク・ショウツク・…—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。