家を守る鍾馗と吊るされた霊芝
どんな伝承か
疫病神を家に入れまいとする戸守りは、三田市上青野では鍾馗の像を入口に据える形をとる。林家は入口の鴨居に黒い素焼きの鍾馗を掛け、室山吉兵衛家では入って正面の鴨居に棚を組み、厨子に納めて花と灯明のほか斎まで供えている。同じ上青野のある家では普段は前栽の厨子に置き、自分の家を中傷したり妬んだりする者が現れると厨子から出してその家の方角へ向ける。すると間もなく被害は収まり、名誉も戻るという。小野の古家和平家では広縁の鴨居に鍾馗を祀り、その傍らに霊芝を二本吊るしていた。
原典より
家に侵入する疫病神を追い払い、その家を守る戸守りは、一般に入口に祀る例が多い。—— 兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告)
『兵庫県民俗調査報告8――伝説』は、兵庫県の民俗調査報告の一冊のうち、第10章「口頭伝承」を収めたものである。三田市の乙原・小野・尼寺・青野・末の各地区を対象に、集落の発祥や神社、廃寺、城跡にまつわる伝説、天狗に導かれたという松住大権現、狐狸の怪、狼の話などを、聞き書きと『門野氏郷土物語』などの郷土の記録から記す。伝説のあとに昔話とわらべ歌を続け、わらべ歌は地元の中学校生徒会の協力で集めた尻とり歌や羽根つき歌を載せる。