血塗れの姿で車の事故を告げた権現
どんな伝承か
松住権現は、夜は千丈山にいるが、昼のあいだは住家の跡取りの勝につききりで守っているという。あるとき権現が顔じゅう血まみれの姿で現れ、勝の乗った車が事故を起こしてこのありさまだと告げた。のちに確かめると、勝は友人の運転する車の助手席にいて、車の前の部分はひどく壊れたものの、二人ともまったくけががなかった。勝自身も、無事だったことに加え、事故を知るはずのない小東が知っていて尋ねてきたのが不思議だったと話す。大学時代の下宿や海外旅行を思いとどまったのも小東の助言によるといい、権現の存在は疑えないと語っている。
原典より
ある時、権現さんが顔面を血塗れになって現れ「勝が同乗していた車が事故を起してこの有様!」と言われた。—— 兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告)
『兵庫県民俗調査報告8――伝説』は、兵庫県の民俗調査報告の一冊のうち、第10章「口頭伝承」を収めたものである。三田市の乙原・小野・尼寺・青野・末の各地区を対象に、集落の発祥や神社、廃寺、城跡にまつわる伝説、天狗に導かれたという松住大権現、狐狸の怪、狼の話などを、聞き書きと『門野氏郷土物語』などの郷土の記録から記す。伝説のあとに昔話とわらべ歌を続け、わらべ歌は地元の中学校生徒会の協力で集めた尻とり歌や羽根つき歌を載せる。