相沢寺に迎えられた霊験のお面さん
どんな伝承か
お面さんは三尊様と呼ばれる三面とほかの四十八面からなり、臼田の住吉の相沢寺に納められている。もとは八ヶ岳のふもと、栄村の堂小屋にあったが、臼田の者が行けばにこやかなのに、よその村の者には険しい顔を見せ、岩に吸いついて離れなかった。岳を舞い歩いて捕まらず、正直な人にだけ姿を見せたともいう。ある夜、雲に乗ったお面さんが相沢寺の僧の夢に立ち、僧が堂小屋の聖人窟を掘ると面が出てきたので寺へ迎えた。開帳のとき捧げた面の下をくぐれば病が治り、雨乞いにもよく効いたという。悪心の者が持ち出そうとすると重くなって動かなかった。
原典より
臼田のものがいけばにこにこしているが、他町村のものが行くときびしい顔をしてちっとも喜ばない。—— 南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。