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女工便所の下に見えた島田髷

所在地長野県佐久市野沢
年代関東大震災直後・11月中旬
登場歌人(青年の師)
出典日本怪談実話

どんな伝承か

関東大震災の直後、若山牧水門下の青年が越後から長野県の野沢町へ行き、知り合いの製糸工場主の家に数日滞在した。青年は酒徒で、下戸の主人に知られぬよう夜ごと街の酒店へ出て飲んでいた。その夜も帰って便所へ行きたくなったが、主人の寝ている傍を通れないので、外の女工用の便所へ行った。十一月中旬の月の明るい晩だった。用を足していると、少しも音がしないことに気づいた。マッチを摺って下を覗くと、島田髷のような物がうっすら見えた。三本目のマッチで、確かに結いたての島田髷があった。青年の叫びで邸内は大騒ぎになったが、それは妊娠を恥じて天井に紐をかけ縊死しようとした女工が、紐が切れて落ち、気絶していたのであった。

原典より

* 書物を返しに来る (173)* 華表の額の怪 (176)* 天井裏の妖婆 (178)* 老婆の幽霊 (179)* 東京の納豆 (181)* 善方寺の符籙 (184)* 箱を背負った女の姿…—— 日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))

『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。

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