好色灯台
どんな伝承か
十日町の中ほど、傍の川辺に古い石灯籠が一基あり、火袋の中に六地蔵を置き、台までは六角、柱石から下は丸い。笠石の裏には「永享二年好色師奥州住秀鶴」と記されている。奥州の好色師が京をめざしてこのあたりまで来たとき、美しい女が名主らしい者に引かれて行くのに出会った。貢米質にしてはあでやかで、あまりに痛々しいので、立ち寄って貢米の料を払い女を助けた。女は涙ながらに、自分は配流になった貴人の姫で、かどわかされて百姓のもとに憂き日を送ってきたと語った。好色師は悟りの道に入り、女を館へ送り届け、その紀念に建てたのがこの灯台だという。
原典より
十日町の中程、傍の川辺に、古い石灯籠一基(灯籠を、二基対にして立てる事は、新らしい事で古くは一基を常とした。—— 南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。