体外離脱で見た仲間の集いと未来の講演
どんな伝承か
木内鶴彦は臨死体験の中で、六歳の夏に千曲川の川原で姉を突き飛ばして落石から救ったときの場面に戻り、当時誰のものか分からなかった「危ない!」の声が、二十二歳の自分の声だったと悟った。体外離脱が夢かどうか確かめようと、長野の星仲間のもとへ念じて飛ぶと、ガソリンスタンドでストーブを囲む酒盛りが見え、退院後に尋ねると話の中身まで当たっていた。だが友人たちは事情を知ると口をつぐみ、彼は体験を語らなくなった。未来へ行こうと念じたときは大きな畳の部屋で星の話をする自分を見たが、十九年後、高野山の講演でその光景どおりの部屋に立ったという。彼は時空を超えた高い次元の世界があると考えている。
原典より
六歳の自分に、未来の二十二歳の自分が声をかけたというのである。—— 証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・1996年(平成8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・1996年(平成8年))
『証言・臨死体験』は、立花隆が文藝春秋の雑誌『クレア』に連載し、一九九六年に単行本として刊行した臨死体験の証言集である。俳優の安田伸、作家の水上勉、彗星探索家の木内鶴彦、プロレスラーの大仁田厚、映画監督の羽仁進など、病気や事故で死の淵に臨んだ二十三人の体験を、本人や家族からの聞き取りで記録する。各章は人物の略歴と前置きに続けて問答形式の談話を載せ、本人の著書や手記からの引用も交える。