四ツ谷駅のホームで倒れた朝
どんな伝承か
作家の永倉万治は一九八九年、四十一歳の誕生日を迎えて間もなく脳溢血で倒れた。その日は四谷の文化放送で午前十一時からの生放送に出演する予定で、午前十時ごろ中央線の四ツ谷駅で降りようとした。席を立った瞬間、右肩と右足からガキッという音が聞こえたような気がし、二歩ほど歩いたつもりでよろけて崩れ落ち、ホームの上にひっくり返った。意識はあり周囲も見えるのに声が出ない。通りかかった中年のサラリーマンが救急車を呼んでくれ、改札口まで運ばれたところで気を失った。左の大脳基底核の出血で、翌朝四時間の手術を受けた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・1996年(平成8年))
『証言・臨死体験』は、立花隆が文藝春秋の雑誌『クレア』に連載し、一九九六年に単行本として刊行した臨死体験の証言集である。俳優の安田伸、作家の水上勉、彗星探索家の木内鶴彦、プロレスラーの大仁田厚、映画監督の羽仁進など、病気や事故で死の淵に臨んだ二十三人の体験を、本人や家族からの聞き取りで記録する。各章は人物の略歴と前置きに続けて問答形式の談話を載せ、本人の著書や手記からの引用も交える。