光の束を昇った代々木の事故
どんな伝承か
放送評論家の志賀信夫は、一九八一年六月、代々木で放送批評懇談会の会合を終えた帰りに事故に遭った。夜半、タクシーを拾おうと明治通りを走って渡ったところへ車が突っ込み、十三メートルも飛ばされて骨盤と股関節を複雑骨折した。落ちた先がガソリンスタンドで路面が濡れていたため滑り、顔は潰れたが命は助かった。救急車を待つ十数分の間に、七色の光の束の中をすうっと昇っていき、上は真綿のように柔らかな芝生か花園のような場所で、横になると心地よさが増したという。同じ章では、心筋梗塞で心臓が止まった作家の邦光史郎が、彩雲の上を幼児のように漂った体験も語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・1996年(平成8年))
『証言・臨死体験』は、立花隆が文藝春秋の雑誌『クレア』に連載し、一九九六年に単行本として刊行した臨死体験の証言集である。俳優の安田伸、作家の水上勉、彗星探索家の木内鶴彦、プロレスラーの大仁田厚、映画監督の羽仁進など、病気や事故で死の淵に臨んだ二十三人の体験を、本人や家族からの聞き取りで記録する。各章は人物の略歴と前置きに続けて問答形式の談話を載せ、本人の著書や手記からの引用も交える。