高速で見た女と同じ顔の人形芝居
どんな伝承か
高速道路のタクシーで白い顔の女を見た稲川淳二のもとへ、世界的に有名な人形使いから、人形と人間が出る芝居への出演依頼が入った。京王線の幡ヶ谷へ打ち合わせに行き図面を見せられると、身長百二十五センチ、体重八キロの人形は、高速道路で見た女と同じ、輪郭だけの真っ白なおかっぱ頭の顔だった。完成した人形は操ろうとすると右手と右足がねじれ、作った人は行方不明で直せない。以後、脚本家の家が全焼し、人形使いの従兄弟が急死し、衣装が濡れ、初日には裏方たちが右手右足を痛め、黒子は七人のはずが八人いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)
『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。