船幽霊を恐れて戸を閉ざす日忌
どんな伝承か
伊豆大島では、毎年一月二十四日から二十五日を日忌と唱える。その間は船幽霊が襲い来ると信じられ、人々は昼のうちから戸を閉ざし、決して屋外へ出ない。牛を屋内に置くことも忌み、必ず海の見えない山の蔭へ繋いでおくという。由来については、昔、人民を虐待した代官を殺して海に流したからだとも、豊臣の時代に耶蘇教を信じた婦人を殺して流したからだとも言われ、種々の俗説が伝わるが、はっきりした原因は分からない。この風習は今では大島のうち泉津にだけ残っているという。
原典より
この風習はただ今にては大島中の泉津だけに残っているそうだ。—— 迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年))
『迷信の諸相・宗教の真相』は、井上円了が大正五年に刊行した『迷信と宗教』を、新しい題を付け現代の表記に改めて翻刻した本である。琉球・伊豆七島・壱岐対馬から北海道まで、著者が各地を巡回して見聞した犬神・人狐・河童・狐憑きなどの迷信と、怪火・天狗・幽霊・鬼門・卜筮・家相・禁厭など全国共通の迷信を挙げる。迷信の利害と原因を論じたのち宗教の真相を説き、余論に妖怪学の短編、附録に幽霊鬼神と霊魂不滅をめぐる論を収める。