屋根板割りの山小屋の怪
どんな伝承か
昭和六十三年、文化庁の「諸職関係民俗文化財調査」に関わった筆者は、川上村の由井時治氏(明治三十六年生まれ)から「屋根板割り」にまつわる話を聞いた。金峰山近くの山小屋にひとりで泊まっていると、夜中に突然、木が倒れる音やのこぎりで木を切る音が聞こえてくる。朝になって音のした方へ行ってみても、何の形跡もない。夜には小屋の周りを何かがノシノシと歩き回ることもあり、小屋の中で刃物を構えて身がまえたこともあったという。由井氏は「なんだったのか、いまだにわからない」と語ったと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。