臼を転がす猿と餅を拾う蛙
どんな伝承か
十二月に餅を搗くカビダレ餅の行事があるが、猿と蛙は搗く米も収穫していなかった。猿は蛙に、餅を搗く音がしたら赤子の泣き真似をしろ、騒ぎになった隙に餅を持って逃げると持ちかけた。首尾よく臼ごと餅を奪って山へ運んだが分け方で揉め、猿は山から臼を転がして先に取った方が全部もらうと言い張った。臼を追って猿が駆け下りるあいだ、跳ねて下りる蛙は木の枝に引っ掛かった餅や道に落ちた餅を拾い、小豆餅や納豆餅をこしらえて食べた。臼の中は空で何も食べられなかった猿は涎を垂らして餅をねだり、蛙は小豆餅を猿の顔めがけて投げつけた。あまり卑しいことはするなという話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。