機と笠を着せた地蔵が運ぶ宝
どんな伝承か
よざえもん夫婦は貧しく、昼も夜も懸命に働いていた。正月が近づき、婆の織った機を店で米や味噌に替えてくることになり、よざえもんが機を持って出かけた。途中、雪をかぶった地蔵に出会い、雪を払ってやったうえ、持っていた機を頭からぐるぐる巻き、ぼろ笠をかぶせて帰ってきた。訳を聞いた婆も、自分は漬け菜の湯を飲んで寝てもよいから地蔵に着せてきてよかったと喜び、二人は筵を敷き薦をかぶって寝た。夜明け近く、ヤンサヤンサと音がして、よざえもんの家はここかと地蔵が引いてくる音がした。朝、戸を開けると米や味噌、油、反物、醤油や酒が家から出られぬほど積まれていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。