鬼の面が離れぬ継母とよもぎ菖蒲
どんな伝承か
父親と男の子が暮らす家に、母を亡くしたのち後妻が来たが、心の悪い女で、父の留守に毎日鬼の面をかぶり蓑を着て子をいじめていた。ある日、面を外そうとしてもどうしても外れず、そのまま夕飯の支度をしているところへ父が帰り、驚いて訳を聞いた。女は自分のしてきたことを白状し、この顔ではここにいられないから山へ連れて行ってくれと頼んだ。父が山へ送る途中、恐ろしさに隙を見て逃げ出すと、鬼となった女が追ってきた。父は蓬と菖蒲の茂る所に隠れて助かり、家のまわりに蓬と菖蒲を挿した。村中が同じようにしたので鬼は入れず山へ帰った。その日が五月節句で、以来蓬と菖蒲の湯に入り軒に挿すようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。