鬼の面が離れぬ継母とよもぎ菖蒲
どんな伝承か
父親と男の子が暮らす家に、母を亡くしたのち後妻が来たが、心の悪い女で、父の留守に毎日鬼の面をかぶり蓑を着て子をいじめていた。ある日、面を外そうとしてもどうしても外れず、そのまま夕飯の支度をしているところへ父が帰り、驚いて訳を聞いた。女は自分のしてきたことを白状し、この顔ではここにいられないから山へ連れて行ってくれと頼んだ。父が山へ送る途中、恐ろしさに隙を見て逃げ出すと、鬼となった女が追ってきた。父は蓬と菖蒲の茂る所に隠れて助かり、家のまわりに蓬と菖蒲を挿した。村中が同じようにしたので鬼は入れず山へ帰った。その日が五月節句で、以来蓬と菖蒲の湯に入り軒に挿すようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史)
『南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説』は、南郷村の村史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。奥会津に語られる昔話を方言のまま書きとめ、きのこの化け物、食わず女房、三枚のお札、天女の羽衣などを語り手の地区と名を添えて載せ、伝説では高倉宮以仁王、蛍堂、箱渕のきつね、萩山稲荷の萩太郎、天狗の飛礫などを伝える。昔話と第二節「伝説」に分かれ、末尾に参考資料の一覧を付す。