臼を背負い桜に登って死んだ猿の婿
どんな伝承か
爺と三人の娘が暮らしていた。山の田の水口に大きな石が落ちて水が入らず、爺が困って、田に水を掛けてくれる者があれば三人の娘のうち好きな娘をやると独り言を言った。木の上で聞いていた猿が下りてきて、片手で石をどけると田は水で満ちた。約束を悔やんで寝込んだ爺に、上の娘も次の娘も断ったが、末の娘が承知して猿の嫁に行った。初泊りに餅を搗いて臼ごと背負わせ、娘は道々、桜を折れば爺が喜ぶ、臼は下ろすと土臭くなると言って、臼を背負ったまま木に登らせた。もっと先の枝と言われて登るうち枝が折れ、猿は臼ごと沢に落ちて死んだ。娘は家に戻り、爺ともとどおり仲良く暮らしたという。
原典より
20 雀の仇討ち昔、昔山奥に山姥が小屋建てて住んでやったど。—— 南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。