賽子と隠れ蓑を取り替えた天狗
どんな伝承か
博打ばかり打っていたやくざが負けて一文無しになり、行き場を失って村外れの鎮守の堂に入って寝ていた。そこへ天狗が来たので、やくざは起き上がってサイコロを目に当て、江戸が見える、大阪も見えると騒いでみせた。見せろとせがむ天狗に、日本一高い望遠鏡だと言って渋り、軍配団扇と隠れ蓑・隠れ笠と交換させた。天狗は、団扇であおげばどこまでも高く昇れる、昇る時はチチンプイプイ、下りる時はスチャラカチャラチャラと唱えろと教えた。やくざは唱えて空へ舞い上がり、天狗はサイコロをいくら覗いても何も見えず騙されたと気づいた。やくざは酒蔵で酔って寝込んだところを見つかり、慌てて空へ飛び去った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史)
『南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説』は、南郷村の村史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。奥会津に語られる昔話を方言のまま書きとめ、きのこの化け物、食わず女房、三枚のお札、天女の羽衣などを語り手の地区と名を添えて載せ、伝説では高倉宮以仁王、蛍堂、箱渕のきつね、萩山稲荷の萩太郎、天狗の飛礫などを伝える。昔話と第二節「伝説」に分かれ、末尾に参考資料の一覧を付す。