声を細めて兎を捕るとうせい爺
どんな伝承か
兎捕りの名人でとうせい爺さんと呼ばれる人がいた。ある日、岩の陰で寝ている兎を見つけ、五十ほど離れた所からうさぎと大声で怒鳴った。兎は驚いたが、まだ大丈夫だと思って寝ている。近づいて少し小さな声で呼ぶと遠くへ行ったと思い、さらに近づいて小さな声で呼ぶと、すっかり遠のいたと安心して寝入ってしまう。耳元でささやくと向こうへ行ったと思い込み、動きもしないので難なく捕まえた。堅雪の日には黒豆をたくさん持って山へ登り、頂から谷底めがけて撒いた。兎は自分の目玉が飛んでいくと思って谷底に集まり、爺さんは村人を呼んできて皆で捕まえたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。