声を細めて兎を捕るとうせい爺
どんな伝承か
兎捕りの名人でとうせい爺さんと呼ばれる人がいた。ある日、岩の陰で寝ている兎を見つけ、五十ほど離れた所からうさぎと大声で怒鳴った。兎は驚いたが、まだ大丈夫だと思って寝ている。近づいて少し小さな声で呼ぶと遠くへ行ったと思い、さらに近づいて小さな声で呼ぶと、すっかり遠のいたと安心して寝入ってしまう。耳元でささやくと向こうへ行ったと思い込み、動きもしないので難なく捕まえた。堅雪の日には黒豆をたくさん持って山へ登り、頂から谷底めがけて撒いた。兎は自分の目玉が飛んでいくと思って谷底に集まり、爺さんは村人を呼んできて皆で捕まえたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史)
『南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説』は、南郷村の村史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。奥会津に語られる昔話を方言のまま書きとめ、きのこの化け物、食わず女房、三枚のお札、天女の羽衣などを語り手の地区と名を添えて載せ、伝説では高倉宮以仁王、蛍堂、箱渕のきつね、萩山稲荷の萩太郎、天狗の飛礫などを伝える。昔話と第二節「伝説」に分かれ、末尾に参考資料の一覧を付す。