唐倉山の石柱と建たぬ蛍堂
どんな伝承か
木伏村の辰巳の方向に鏡岩・裸岩・屏風岩と呼ばれる岩場があり、六十四本の石柱が積み重なって連なる霊地・唐倉山がある。石柱の岩窟は薬師ヶ岳、高倉山、唐倉山、穀倉山と名を変えてきた、当村で最も古い伝説の地である。現在は数十本の石柱を残して崩れ落ちてしまった。むかし、でいだん坊という大男が、台の奇岩絶壁の黒岩山から唐倉山へ一またぎして石を運び、一夜のうちに蛍堂を建てようとした。数人のでいだん坊が石柱を担いで堂を建てていたが、一人の怠け者が岩陰でさぼり、鶏の鳴き真似をした。朝になったと思った者たちは大岩を投げ散らかしたまま帰ってしまい、堂は建たなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。