辰巳山の沼へ帰った大蛇の女房
どんな伝承か
和泉田集落の辰巳(南東)の方角に辰巳山がある。その麓の沼のほとりに、女房をもらうと飯を食うからと独り身でいる欲深な炭焼きの若者が住んでいた。ある年の山桜のころ、飯は食べないという美しい女が現れて女房になる。産気づいた女は節穴のない産屋を求めたが、男が覗くと大蛇が盥を巻き、尾の先で赤子に水をかけていた。正体を見られた女は片方の目をくりぬいて子に残し、沼へ入っていった。男は山で眼玉を失い、子は死ぬ。以後、毎年夏に暴風雨が村を襲い、辰巳おろしと呼ばれた。沼の龍神の祟りとして龍目の権現を祀ると和らいだと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。