堰普請の人柱となった六部の祟り
どんな伝承か
和泉田の田へ引く用水は伊南川をせき止めて取り入れる。昔はカリヤスを組み立てて沈める仕事で、村人が三日も四日も休みを取って出役し、若者が川に飛び込む命がけの普請であった。ある年、難工事に苦しむ村人に通りがかりの六部が、人柱を立てねば成就しないと告げ、自ら志願して蓄えた金を託し、供養碑を建ててほしいと遺言して伊南川に身を投げた。普請は無事終わったが、若者たちはその金を工事慰労の酒肴代にしてしまう。宴の最中に雷鳴がとどろき伊南川は荒れ狂い、以後も普請の日には必ず雨が降った。六部の祟りとして石碑を建てて供養すると嵐はやんだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。