鶏の声で退けられた塚原の一夜百塚
どんな伝承か
大分の鬼が働くのは夜と決まっている。県内各地に残る鬼の石段の話や、湯布院町の塚原に伝わる一夜百塚の話がその型である。一晩のうちに百の石段、あるいは百の塚を築き上げたなら願いを聞き入れようと、神が鬼に約束をする。鬼は神の見込みを超える怪力で仕事を進めてしまうので、神は達成を阻むために鶏を鳴かせ、夜が明けたと思わせて鬼を退散させる。ここでの鬼は人や家畜に害をなす存在として語られるが、人を怖がらせる妖怪としての姿かたちまでは描かれていない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大分県史 民俗篇――俗信・妖怪・憑きもの(大分県(編)・大分県史)
『大分県史 民俗篇――俗信・妖怪・憑きもの』は、大分県の県史の民俗篇のうち、講の項の末尾と俗信の章を収めたものである。俗信の諸相、兆・占・禁・呪、天狗・鬼・山童・河童・ウブメ・塗り壁・狐狸・火の玉などの妖怪と霊異、犬神やトウベ(蛇神)、死霊風などの憑きものを、国東・日田・臼杵など県内の伝承と既刊の研究をもとに述べる。山の怪・水の怪・路傍の怪などに分けて事例を並べ、節ごとに注を付し、写真の説明文を挟む。