聞き違いから家運が傾いた手代え松
どんな伝承か
末崎町細浦の追堀坂を登り、平部落へ行く途中に、昔、大きな老松が生えていた。千屋敷という旧家のもので、根元は旅人の格好の休み場となり、人々が松の枝にやりぼんぼりなどを掛けて手代わりとしたので、誰言うとなく「手代えの松」と呼ばれるようになった。ある晩、千屋敷に琴引きの女芸人が泊まり、主人が下男に命じて松の上から「琴引きが来たから、みな来さっせ」と呼ばせた。人々はこれを「事が出来た」と聞き違え、大勢が慌てて駆けつけた。それ以来、この家には不吉なことばかり起こり、家運も衰えて、ついに他所へ移らねばならなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。