高丸が飛び越えた盛川の巨岩
どんな伝承か
猪川町の久名畑という部落に、盛川に面して「鬼越え」と呼ぶ巨岩があった。昔、猪川に赤頭という賊の一族が住んでいた。名うての悪鬼の集まりで、坂上田村麻呂の征伐にも屈せず抵抗を続けたが、半年余りの戦いの末に敗れ、一族は四方へ散った。赤頭の頭は高丸という鬼で、田村麻呂に追われて久名畑から日頃市の方へ逃げた。田村麻呂は二丈もある大岩の上まで追い詰め、前は深い淵で今にも捕らえられそうになったが、高丸は最後の力を振り絞って岩の上から向こう岸へ飛び越え、阿修羅のように逃げ去った。以来この岩を鬼越えと呼ぶという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。