馬船の下に隠れていたカッパ
どんな伝承か
猪川町に「八幡」という旧家がある。昔、同家では二十頭ほどの馬を飼っていた。馬たちは夏になると毎日近くの中井川原へ足を冷やしに行くのが日課で、版木で合図をすると厩から列を作って川原へ向かった。ある年の七月七日の午後、いつものように馬が帰ったあと、主人が厩へ行くと馬船がひっくり返っていた。元に戻そうとすると、そこにカッパが隠れていた。カッパは足冷やしに行った馬の尻尾にしがみついて厩まで来たが、隠れ場所がなく馬船の下に潜んでいたのだった。主人は毎年七月七日に川原へ食物を供えるからと言って帰らせ、以後カッパは姿を見せなくなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。