棘の薔薇に座した赤ばら勘兵衛
どんな伝承か
今から四百年ほど前、氷上山のふもとの高畠という土地の帰属をめぐり、大船渡と米崎が争った。米崎には勘兵衛という義侠心の厚い実力者がおり、大船渡側の代表や仙台から派遣された立会いの役人を相手に連日談判した。理路の通った弁舌に押されて、相手はいつも黙り込んだという。あるときなど、主張を通すために尻をまくり、真赤に咲く薔薇の棘の上へどっかと腰を据え、血をしたたらせながら論じ続けた。結局この一帯は米崎のものとなり、村人は彼を赤ばら勘兵衛と讃えて神に祭り、小さな祠を建てたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。