杉に化けた大猫と猫切丸
どんな伝承か
立根町の和村部落に安養寺という寺があり、その近所に田中と称する旧家がある。昔、田中家の先祖が夜の帰り道に、家の近くの道の真ん中に、昼間はなかった大きな杉の木が立っているのを見つけた。不思議に思って刀をもって切りかかると、その木はもの凄い音響を響かせながら倒れてしまった。先祖の人は事の成り行きに驚き、ほうほうの体で家に帰ったが、次の朝早々に行ってみると、一かかえもあるような巨大な猫が足を切られて死んでいたのであった。以後、この猫を切った刀は猫切丸と呼ばれ、この地を猫字と称するようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。