父の仇を討った大蛸退治
どんな伝承か
赤崎町蛸の浦の海には蛸の主が棲み、これが暴れると海が荒れると信じられていた。貧しい漁家の父親がいつものように蛸漁へ出た日、一匹も獲れぬまま帰り支度をしていると、急に糸を強く引くものがある。手繰り寄せようとした小舟は転覆し、糸の先にいたのは大きな蛸入道であった。二日後、父の遺体が浜へ打ち上げられる。親孝行で知られた息子は仇を討とうと毎日海へ出て主を待ち、四十九日の日、周囲の制止を振り切って舟を出した。夕刻に姿を現した主と小刀ひとつで数刻戦い、ついにこれを仕留める。以後この海は凪の多い穏やかな浦となり、蛸の浦の名が生まれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。