鎌を振り回した狐憑きと狐送り
どんな伝承か
ある人が突然に異常な行動を起こすことをキツネッキという。田良尾では、母と山へ草刈りに行った息子が木の下で寝ていて急に起き上がり、鎌を振り回して母を追いかけた。体を打っても火をつけてもびくともせず、三日目に本性に戻ったという。小川では山で憑かれた者が目を鋭くして箪笥の上に上がるなどしたので、保土原の稲荷が憑いたとして稲荷神社の神主に祓ってもらうと、狐は取れたが毛が残っていた。南沢では昼はぼんやりし夜に元気になる女に、法印が布団の下へ鏡を置かせ、祈禱ののち四つ辻へ赤飯や玉子、油揚げを供えて狐送りをした。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。