鶴が稲を落とした社と水没した村
どんな伝承か
羽鳥の鎮守は御霊神社で、鎌倉権五郎景政を祀る。この社には鶴が稲をもたらしたという穂落の伝承が伴い、鳥の宮御霊大明神を祀ったとも語られる。本殿に納まる惟喬親王とその妃の像は、廃村となった木地屋集落の板小屋で山の神として祀られていたものである。羽鳥は羽鳥ダムの建設で水没することになり、昭和三十年九月、社を北の山の中腹へ移して羽鳥神社と改めた。人々は西郷村・矢吹町・鏡石町・郡山市へ散ったが、秋には羽鳥神社へ集まって祭りを営んでいる。親王夫妻の像は各移住地の持ち回りとなっている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。