狼の害を防ぐオイヌ祭り
どんな伝承か
狼はオイヌと呼ばれ、山の神の使い、あるいは山の神そのものと考えられていた。湯本では馬を放していたころ、狼の害を避けるためにこの祭りを行った。子供らは椀とその蓋に米を入れてもらって宿に集まる。椀は親馬、蓋は子馬の分だという。宿で用意した小豆おこわを握り、蕗の葉にのせて、かつての放牧場の入口の石へ供えた。更目木では春先に村を巡って米と小豆を集め、村外れで炊いてもらった握り飯を川端の岩の上に上げたと伝える。大平では旧六月八日を祭日とし、山の大木に供えたあと子供らで分け、各戸へも一つずつ配った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。