大釜の山車で名を返した釜無し横町
どんな伝承か
麻布七不思議の四つめは釜無し横町という地名の由来である。昔この横町には貧しい者が多く住み、飯を炊く釜が一つしかなかった。長屋の人々はその釜を代わるがわる使ったので、釜無し横町と呼ばれるようになったという。ある年、住人たちはへそくりを出し合い、氏神の祭礼に大きな釜をかたどった山車を仕立てて引き回した。これを見た近所の者は驚き、以後は釜無し横町と言ってからかうのをやめたと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・1985年(昭和60年))
『妖怪の民俗学――日本の見えない空間』は、宮田登が一九八五年(昭和六十年)に著した、妖怪の現れる場所を論じた民俗学の書である。柳田国男と井上円了の妖怪論、幽霊と妖怪の違い、口裂け女と産女、皿屋敷、化物屋敷と下女、辻・橋・境の怪異、怪光と怪音、七不思議、通り悪魔と髪切りを、古文献や新聞記事、各地の伝承から読み解く。四章から成り、都市の空間に妖怪が現れる仕組みを軸に据える。