殺された法印理聖院の祟り
どんな伝承か
宮ノ下の三町ばかり上の方に村の共同墓地があり、そこに理聖院という法印坊主が住んでいた。ある年の春先、松ヶ堰の堰普請に村人が集まったが、朝の早い法印の家の戸が日が昇っても開いていない。不審に思った村人が戸を叩いても答えがなく、破って入ると法印は殺されて冷たくなっていた。村人はすぐそばの墓地に埋葬した。間もなくおシカという女が死んで法印の上手に葬られると、上座に埋まったというので法印がおシカの家に祟ったという。その家はしだいに貧しくなって北海道へ移ったが、後に成功して帰り、また祟られてはならぬと法印の墓を上の方へ改葬したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史)
『小野町史 民俗編――伝説』は、小野町が編んだ町史の民俗編から、第九章「ことばと伝承」の第一節「伝説」を収めたものである。田村郡小野庄にあたる町内の館主や城主の没落、坂上田村麻呂や八幡太郎、小野篁・小野小町にまつわる話、デンスケ坊の祟り、河童の恩返し、大蛇や名石・埋宝の話など五十四編を、大半は地元の人からの聞き書きで収める。村川友彦の「はじめに」と地域の特色の解説を置き、伝説を大字(旧村)ごとに並べ、語り手の名を添える。