義家の槍から湧いた今水とブス川
どんな伝承か
八幡太郎義家が安倍貞任追討の軍を率いて浮金の日影のあたりに差しかかると、一筋の川が流れていた。猛暑の候で渇きに苦しむ兵たちは我先に川水を飲もうとしたが、水の色が異様なのに気づいた義家はこれを禁じ、神を念じて槍を地に突き刺した。すると槍穴からみるみる清冽な水が湧き出し、全軍はこれを飲んで渇きをいやしたという。のちにこの清水の湧き出たところを今水と呼び、貞任が毒を投じたという川をブス川と呼ぶようになった。里の人々は近年までこの川の水を飲用しなかったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史)
『小野町史 民俗編――伝説』は、小野町が編んだ町史の民俗編から、第九章「ことばと伝承」の第一節「伝説」を収めたものである。田村郡小野庄にあたる町内の館主や城主の没落、坂上田村麻呂や八幡太郎、小野篁・小野小町にまつわる話、デンスケ坊の祟り、河童の恩返し、大蛇や名石・埋宝の話など五十四編を、大半は地元の人からの聞き書きで収める。村川友彦の「はじめに」と地域の特色の解説を置き、伝説を大字(旧村)ごとに並べ、語り手の名を添える。