卯の日まで里にいる雪女と苗
どんな伝承か
青森県西津軽郡の関では、雪女は正月三日に里へ下りてきて、最初の卯の日に山へ帰ると信じられていた。この雪女が里にいるあいだは一日に三千三百余の稲の苗がしなびるといい、そのため卯の日の遅い年は作柄が悪いとされた。雪女は本来、大雪や吹雪の夜道に白い着物の美女として現れ、抱いた子を渡そうとする妖怪として語られるが、ここでは里へ下りて稲の実りを左右する存在として意識されている。雪の降り積もるときに訪れる神の零落した姿であろうとも説かれ、雪女の去来を数える暦が農作の吉凶と結びつけられていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。