わら鉄砲で土を打つトウカンヤ
どんな伝承か
十月十日の晩、川口の赤山では「もぐら追い」といって、わら鉄砲を作り、これで農家の庭などをたたいて回った。わら鉄砲は稲のわらを束にし、荒縄でぐるぐると固く巻いて作る。よい音が出るように、芯には芋がらを干したものを入れる。わら鉄砲をたたくときには「イネコのぼた餅、なまでもいいから持ってこい」と唱えた。たたき終わると、家々ではぼた餅などを馳走した。子供たちは「オイノコぼた餅、ねれたら持ってこい」と唱えてわら鉄砲で土間をたたき、大人たちは板などでたたいたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
川口市史 民俗編――伝説(川口市(編)・川口市史)
『川口市史 民俗編――伝説』は、川口市が編んだ市史民俗編のうち、第四章「伝説」を収めたものである。六兵塚や首塚などの塚、山・池沼・樹木にまつわる話、八百比丘尼の椿、神社・地蔵・観音・薬師の霊験、地名の由来、正月の餅を搗かない家例や蛇まつり、川口の鋳物の始まりなどを、地内の地名や家名とともに記す。自然伝説、信仰伝説、歴史伝説の三節に分け、節の中を塚・山・池沼などの項に立てる。